作家の芥川竜之介が、親交の深かった旧中沢村(現駒ケ根市)出身の医師下島勲に贈った俳句書が、11月15日に駒ケ根市赤穂公民館で開く文芸愛好家の集いで公開される。書は、下島の弟の孫に当たる大輔さん(70)が、下島の生家でもある自宅で保管しており、主催者から依頼を受けて出展を決めた。同市での公開は初めてという。
下島は1869(明治2)年、旧中沢村に生まれ、13歳の時に上京。医師になった後、芥川や室生犀星、萩原朔太郎ら多くの文人が住んだ現在の東京・田端に医院を開業し、芥川の主治医だった。自身も「空谷(くうこく)」との雅号で書などをたしなみ、芥川と家族ぐるみで親しく付き合ったが、第2次世界大戦の開戦で中沢の生家に疎開。1947(昭和22)年に亡くなった。
短冊に書かれた「更(ふ)けまさる火(ほ)かげやこよひ雛(ひな)の顔」は、芥川が1926年、幼くして亡くなった下島の養女をしのんで書いた。通夜の灯明に照らし出されたひな人形の美しい顔が故人をしのばせる-との意味。文字は墨で細く書かれ、表装には芥川の着物の布が使われているという。芥川は、この書を贈った翌年の27年に自殺した。
今回の集いは、駒ケ根市や伊那市の文芸愛好家らでつくる「駒ケ根文芸セミナー」が主催。下島の書や、下島が句集をまとめた上伊那ゆかりの俳人、井上井月(せいげつ)(1822-87年)の書も展示するほか、講演会もある。
大輔さんは「芥川の俳句書を展示することで、会場がにぎやかになればいい」と話している。
当日は午後1-4時。参加無料。
(提供:信濃毎日新聞)




















