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topics 池田町自立の針路(上) 低迷する農工業

(2008年6月3日)

ブドウ畑の造成に向けて整備が始まった池田町中之郷の斜面

 任期満了に伴う池田町長選は、17日の告示まで2週間に迫った。今のところ、現職で4選を目指す山崎袈裟盛氏(71)=無所属、池田=と、新人の会社役員勝山隆之氏(61)=無所属、池田=の2人が出馬の意向を表明。前回選と同じ顔触れで選挙戦になる見通しだ。合併問題が争点となった前回選。今回は「合併せず自立」の道を進んだ4年間の評価と、今後のまちづくりの方策が問われる。中でも重要な産業振興と観光の面で、現状と課題を探った。

   ◇

 池田町の南端、安曇野市明科七貴と接する中之郷地区。山すその斜面で5月26日、県営畑地帯総合整備事業の安全祈願祭が開かれた。総事業費は約4億円。地権者112人が所有する遊休荒廃地約20ヘクタールを畑地として来年3月までに再整備し、うち約12ヘクタールをワイン醸造用のブドウ畑にする計画だ。

 ブドウ栽培は、町が昨年3月にまとめた「まちづくり推進プラン」で町民の雇用創出策に位置付けられている。地権者でつくる実行委員会の宮崎康次委員長(67)は、「気候も地質もブドウ栽培に適した土地。栽培が始まれば、地区が活気づく」と期待する。

 だが、整備事業のこれまでの歩みは順調とは言い難かった。2002年に国が事業採択したが着工は2年遅れ。最大の理由は、地権者の合意形成に時間がかかったことだ。

 中之郷の農家の間には「高齢化で、自分たちで耕作するのは無理だ」といった意見があり、ブドウ生産を担う農業生産法人設立の見通しは立っていない。町は大手ワインメーカーの誘致を進めているが、合意形成に時間がかかったこともあり、具体化していない。町は「企業と、住民への呼び掛けを並行して進める」(振興課)とする。

 04年3月の町議会決議により、合併せず自立していく道を選んだ池田町。古くからのコメどころで、戦後は中小の下請け工場を中心に工業が発達した。だが、ここ20年ほどの間、米価の下落やバブル崩壊などもあり農業、工業ともに低迷が続く=グラフ。住民が町内で就業する割合は1980年の70%から、05年は48%に低下した。

 まちづくり推進プランに基づき、町は09度までに人件費を06年度当初予算比で9700万円、事務事業費を5700万円、それぞれ削減する方針だ。一方で、ブドウ栽培や企業誘致による増収を狙う。

 町の「企業誘致等調査研究委員会」は、2月に企業誘致の推進や既存企業の支援策を盛った答申をまとめ、本年度は町職員や町商工会をメンバーとする工業振興チームを設置。製造品出荷額を12年度に260億円まで回復させることを目標に、地元企業をPRするガイドブックを作ったり、地元企業間の連携を強めるイベントを準備する。

 ただ、「決め手に欠けるのでは」(町内の商業者)との指摘もある。隣接する松川村は5月、未売却だった工業団地に東京の企業の進出が決まった。「土地価格を低く抑え、取得費の約3割を村が負担する助成制度をつくったことが理由の一つ」と村土地開発公社。工業振興チーム内の意見交換でも、同様の制度を設けるべきだ、との声が出た。

 同チームのメンバーで信大イノベーション研究・支援センター(長野市)の小林一文顧問(64)は、「企業誘致を進める上で、町長のリーダーシップは大きい。職員や町民に町の将来像を語り続ける情熱が必要だ」と話す。

 同町渋田見地区では中之郷地区に先行し、約2ヘクタールのブドウ畑で来春にも作付けが始まる。農業生産法人「ヴィニョブル安曇野」の横山嘉道代表(58)は「生産者とワインメーカーの間で調整役を担ったり、町内産のブドウをPRしたり、整備が終わった後も町の役割は大きい」。こちらも、町の方向提示を期待している。

 [池田町まちづくり推進プラン]

 財政健全化策や、住民との協働の在り方などをまとめた2007年度から10年間の町の基本指針。合併しない自立のまちづくりを円滑に進めるため06年4月から検討を進め、住民14人が検討委員を務めた。

(提供:信濃毎日新聞)

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