米フロリダ大大学院生の桜井良さん(23)が、松本市を拠点にツキノワグマに関する調査に取り組んでいる。小谷村と長野市の計1200人に対し、ツキノワグマにどんな意識を持っているか-などと尋ねる調査用紙を発送。結果を分析した上で、住民や行政と話し合い、人間の意識や行動を変えることで被害を減らせる部分がないか、一緒に考えていきたい-と意欲的だ。
桜井さんは埼玉県和光市出身。幼いころから野生動物を紹介するテレビ番組が好きだった。慶応大に進学してから、行政やNPOが取り組む野生動物の調査や学生向け実習に参加するようになった。
長崎県対馬市で住民と話すと、国天然記念物のツシマヤマネコは鶏を襲う「やっかいな存在」だった。軽井沢町ではツキノワグマに遭遇した住民が恐れを抱き、「駆除してほしい」という人もいた。「動物と人が折り合いをつけて生きるため、動物の生態だけでなく、人間側に焦点を当てた研究をしたい」と考え、昨年夏、そうした研究が盛んという米国に留学した。
研究テーマに熊を選んだのは留学後。フロリダ州ではアメリカクロクマと車との衝突が問題になっていたが、捕獲後、お仕置きをして放す「学習放獣」が徹底されている。ツキノワグマの人里への出没が相次いだ2006年に日本では4000頭以上が捕殺されたことを話すと、驚かれた。
ただ、米国内でも、捕殺を進める州、生ごみの保管法や生態の学習など人間側の意識や行動を変えようと取り組む州など、熊対策は州によってさまざま。政策の違いには住民の意識の違いがあるのではないかと感じ、日本で調べることにした。
今回の調査では、ツキノワグマへの感情や望ましい対応、行政に求める対策などを質問。06年に大量出没した小谷村と、都市部を比較できるよう長野市での実施を決めた。電話帳から無作為に抽出して用紙を送り、これまでに100通ほど回答が寄せられている。
松本市には7月中旬まで滞在し、大学にいったん戻って回答を分析する。研究成果を県内関係者に還元しつつ、「将来は野生動物の問題で関係者が妥協点を見つけられるよう調整にあたる専門家になりたい」と話している。
(提供:信濃毎日新聞)





















