富士見町の住民有志や企業、町職員などでつくる町アツモリソウ再生会議は、町内の釜無山、入笠山一帯で絶滅の危機にひんしている野生のアツモリソウを増やすため、自生する1株の花で人工授粉をした。今後、熟した種子を採取し、数年がかりで増殖させて自生地に戻す事業の第一歩。
ラン科の多年草アツモリソウは、種の保存法で特定国内希少野生動植物に指定され、国、県が採取などを禁じている。町内の野生株は昨年が11株、今年はこれまで10株が確認されているだけで、このうち開花したのはわずか3株。受粉はハチの媒介が頼りで、今のままでは野生状態での結実が難しいため、国などの許可を得て野生株の人工授粉・種子採取を計画した。
人工授粉は19日、再生会議のメンバー4人が山中で行った。金属製の耳かきのような道具で袋形の唇弁(しんべん)の中にある花粉塊を取り、同じく唇弁の中にある雌しべの先に花粉を付けた。
今後は9月下旬前後、熟した種子を採取。半分は現地にまき、残りは種苗会社ニチレイガーデン(乙事)が無菌培養をする。5年から8年かけて野生株の「孫」にあたる世代の種子を得て、一部を自生地にまいて維持を図る。
再生会議メンバーで人工授粉に参加、盗掘防止の監視活動もしている名取陽さん(67)=富士見ケ丘=は「これからも盗掘やシカの食害が心配。監視を頑張らなければ」と話していた。
(提供:信濃毎日新聞)




















