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topics 国に頼らず自立決意 栄村協働のあす(上)

(2008年3月28日)

蛇行する千曲川沿いなどに集落が点在する栄村。豪雪地で培われた助け合いの精神をどう村政に生かしていくか=25日、さかえ倶楽部スキー場から撮影

 任期満了に伴う栄村長選(4月20日投開票)は、4月15日の告示まで3週間を切った。現職の高橋彦芳氏(79)は引退を表明。これまでに前副村長の島田茂樹氏(67)=堺=と、前村議会副議長の島田伯昭氏(61)=北信=の無所属新人2氏が立候補を表明し、20年ぶりの選挙戦となる見通しだ。村は住民と協力して水田や道路を整備する「田直し」「道直し」など、国の補助金に頼らない“身の丈”に合った施策で知られる。「平成の大合併」では自立を選択した。鍵である住民活力をどう生かすか、今後を展望する。(熊谷直彦)

   ◇……◇

 「荒廃地を減らし、農村環境を保全する意味で有効だと思う」。田直しの実際の作業を担う高橋健さん(51)=北信=は効果をこう話す。

 同事業は、山間部に多いが国の補助対象にはならない狭い水田を整備するため、栄村が1989年度から独自に始めた。建設業だった高橋さんは当初から一人でオペレーターを務め、昨年春に村の臨時職員になった。

 狭い田んぼをまとまった面積にするほか、農道を新設したり、湿田に大型機械が入れるようにしたり。事業は2006年度までに531世帯が利用。計1400枚余の狭小な水田が、使い勝手の良い500枚余に変わった。

 累計で45・6ヘクタール。10アール(1反)当たりで見ると施工費は約38万円で、平均約52%を農家が支出する。小回りが利き、負担も抑えられる。

 技術を信頼して作業を依頼してくれる農家の要望に応えられたとき、「人の役に立ててうれしいと思う」と高橋さん。冬季は村道除雪にも携わっており「村づくりの何でも屋的な存在でいることが理想」と願っている。

 「実践的住民自治」。高橋彦芳村長は1988年の就任後、住民が村政に力を発揮する理念をそう呼んだ。田直しのほか、近隣住民が訪問介護を行う「げた履きヘルパー」など、知恵を絞ってきた。

 「おてんま」などといわれる共同作業が色濃く残っており、「住民が村づくりに参画する下地が栄村にはもともとあった」と高橋村長。助け合いの精神を生かしたこれらの事業には、国の補助に頼らずに自立した生活を続ける決意も込めている。

 昨年4月に奈良県橿原市から移り住んだ有田よし江さん(60)=北信=は、そんな栄村の「人間味ある生き方」に引かれた一人。心豊かな生活を求めて全国に移住先を探していた際、インターネットで知った村の特色ある施策に魅力を感じたことが移住の決め手だった。

 村内の特別養護老人ホームで働き、村の会合にも積極的に参加する今の生活に「精神的におおらかで満足している」と有田さん。栄村に息づく「持ちつ持たれつ」の良さに住みやすさを見いだしている村民が多いと感じ、「自分も村づくりの一員として頑張りたい」と考えている。

 だが、取り巻く状況を楽観できないのも事実だ。村の人口は約2450人。65歳以上の割合は40%を超える。大事な共同体意識を保とうにも、若い世代は仕事の都合などから定着しづらい。地方財政も厳しさが増している。

 村の魅力として根付いてきた住民自治の精神を今後にどうつなげていくか―。これまでの手法では切り開けない場面も想定しなくてはならない。さまざまな立場の住民が対話を重ね、一緒に将来像を描き直すことが必要になる。

(提供:信濃毎日新聞)

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