飯田市歴史研究所は5日、同研究所が昨年刊行して平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞を受賞した「満州移民-飯田下伊那からのメッセージ」の書評会を、市りんご庁舎で開いた。東大大学院の加藤陽子准教授(近現代史)が講演。補助金で地方の政策誘導を図る国の姿勢など、現代にも通じる問題点を明らかにしたことを高く評価した。
同書は、繭の値段が下落し飯田下伊那地方の多くの農家が借金を増やしていた状況下で、国が旧満州(中国東北部)への分村計画を立てた村に補助金を交付するとうたった点を指摘。加藤准教授は「負債整理の進まぬ農村に対し、国家が『お金をあげるよ』と分村を迫る発想は、今に通じる」と述べた。
また、敗戦前後の逃避行の中で生死を分けたのは、指導者個人の判断力や中国人との関係の違いなどだった-と個別事例を評価した記述についても言及。「歴史家としてやらなければいけないことをやってくれた」と述べた。
一方、著者の一人で同研究所調査研究員の本島和人・伊那西高校教諭は「満州移民の悲劇を知らない若い世代、知識としてしか知らない戦後世代に、もう一度振り返ってほしかった」と感想を話した。
(提供:信濃毎日新聞)





















