木曽郡大桑村殿にある県宝の池口寺(ちこうじ)薬師堂は1289年に伐採した木材を使って創建され、本尊の薬師如来座像はさらに約90年古い近畿圏のヒノキ材で作られていたことが23日、分かった。奈良文化財研究所首席研究員で年代学研究室の光谷拓実室長が「年輪年代法」で調査し、同日、殿公民館で開いた報告会で明らかにした。
年輪年代法は、ある時期に成長した同種の木では、年輪の幅の変化が同じパターンを示す性質を利用し、標準パターンと比較して年輪を刻んだ年を特定する手法。国内では、光谷室長が28年前に始めた。
薬師堂は、現在解体修理中で、光谷室長は昨年12月から調査した。堂の柱や板など木曽ヒノキの部材17点を分析し、14点の年代を特定。このうち1枚の板に樹皮の真下にある最後の年輪が残っていて1289年と分かり、光谷室長は「創建年は、この数年後と考えられる」と説明した。建築様式などから鎌倉時代末期とされてきた造営年代を裏付けた格好だ。
来歴が不明だった薬師如来座像も同様に調査。当初、木曽ヒノキの年代パターンと照合したが一致せず、近畿圏のヒノキのパターンとうまく合い、1200年前後に伐採された木を使っていたことも分かった。台座などは薬師堂造営と同時期の木曽ヒノキで、薬師堂より本尊が先に完成していた可能性が高くなった。
光谷室長は「本尊は、関西方面から運んだとも考えられる。歴史家らにさらに研究を深めてほしい」と話していた。
(提供:信濃毎日新聞)





















