解体修理を行っている大桑村殿の県宝・池口寺(ちこうじ)薬師堂で、かつての修理や改装の際、不要になった部材をほかの傷んだ部分に転用した様子が明らかになってきた。貴重な建築材料を有効活用する工夫を現代に伝えるとともに、転用された材料の元の姿を追うことで、復元にも役立ちそうだ。
寺の記録などから、薬師堂は1300年代の鎌倉時代後期から室町時代初期にかけて建築されたとみられ、室町時代と江戸時代初期に大修理、明治時代に内装の手直しがあったという。今回の修理では、床下の部材のうち、丸みを帯びた材を組み合わせたところ円柱の姿が現れ、明治時代に切り取った円柱を転用していたことが分かった。
壁板の中には、明治時代に本尊を安置した須弥壇(しゅみだん)の位置を変えた際、不要になって転用した板があった。切り詰めてあったが、落書きでつながるよう組み合わせたところ元の長さが判明した。
部材の年輪年代測定も行い、1280年代に伐採された木による創建当時の部材も複数確認。部材の年代から、どの時期にどこを直し、建物の形も変わったかが推測できるという。
放置してあった部材から、以前の屋根の形は現在と異なることも分かってきた。中心になって復元を指導する大河直躬・千葉大名誉教授(建築史)も19日に現場を訪れ、使っていなかった材料のくぎ跡や風化の状態から使用場所を推測。「可能性を検討し、1本の柱で1日考えることもある」と話す。
ともに指導に当たる信州伝統的建造物保存技術研究会の吉沢政己副理事長は「部材のリサイクルもあり、古い情報がたくさん残っている。できる限り古い様式を再現したい」という。西沢義正住職は「発見が続き、びっくり。大事に後世に残していきたい」と話す。
同寺では、修理費用の寄付も募っている。
(提供:信濃毎日新聞)




















