科学者が解明できないこの世の不思議は、きっと作家がその独創性をもって補ってくれる。
15の「かわいいひらがな」をテーマにしたショートショートを読めば、まるで著者が提示してくれた秘密の眼鏡で、世界をのぞいてみたような気持ちになる。
「かげ」と題された話では、停電の夜、植物たちが動きだす。植物が「動く物」と知らないのは人間だけ。というのも、都会ではまれな“真実の闇”が訪れた時のみだからだ。
「しゃっ」という「かあてん」の音が聞こえる、と語る男。死後の世界で明らかになった真実には、私も身につまされた。カーテンを閉めていたのは、他者であろうか、自身であろうか。
最後に「ノックの音がした」で始まる作品の多い星新一へのオマージュとしてつづった「のっく」。主人公の女は人生の転機に、気持ちのよい音でクスノキをノックして消えていくおばあさんを見かける。不思議に思っていると、人生の最期にその謎が解ける。思わず鳥肌がたった。
(集英社 1200円+税)=岡田美和・筆


















