地図に「ウソ」が書かれているなんて、私たちは考えない。しかし本書の著者は「完全に客観的な地図」など存在しないと喝破する。
中学生のころから地図を眺めることが趣味であったという著者が、そのような視線で世界の地図を旅する指南書を記した。
古今東西の地図を眺めながら、地図記号や川の蛇行の様子、国境線の引かれ方などで、その町の特産、成り立ち、人々の思想などを、まるで推理ゲームのように引き出していく。
地図は、時に疑って見ることも必要なようだ。たとえば戦時中、軍事的重要施設が隠された地図は、各国に存在する。競合他社の路線が記されていない鉄道路線図は、私たちも見かける。製作者のメッセージがそこにある。
その図の世界に惑わされたり、時に高い視線から批評を加えるなどして、地図を旅する手法を、本書から学びたい。
(白水社 1500円+税)=岡田美和・筆


















