多くの「鉄ちゃん」の期待を受け、満を持してオープンした鉄道博物館。そこに飾られている3メートル×10メートルの大ステンドグラスを製作したのは、私も大好きな銅版画家山本容子だ。
本書には、11人の現代作家による鉄道に関するエッセーと詩、そしてそれらからインスパイアされた山本の原画がまとめられている。
谷川俊太郎の詩に始まり、中沢新一、浅田次郎、池内紀と豪華な執筆陣のエッセーが続く。池澤夏樹がアフリカで乗った砂まみれの汽車の話や、小川洋子が子供のころに宇野線で見かけたおばさんの話、また江國香織がパレルモを目指して乗ったイタリアの鉄道など、旅の話が心地よい。
鉄道と聞いてどことなく寂しいような気分になるのは、人それぞれの思い出を喚起するからなのか。そんなことを考えた。
山本の原画は、鉄道の形や煙、人々が旅に胸を躍らせている様子が楽しく温かいものとなっている。ぜひとも実物のステンドグラスを見に行きたい。
(マガジンハウス 1905円+税)=竹下綾・筆

















