松本市渚の建築士、浅輪誠さん(69)が、歩きながらでも数秒で折り畳むことができる独自機構の「スライド折り畳み自転車」を開発した。駐輪場で自転車を盗まれた体験をきっかけに、3年半の試行錯誤を経て「マンションのエレベーターや室内に楽に持ち運べる自転車」を開発した。2月中旬から販売を始める考えだ。
左手ハンドルにある専用レバーを握ると、フレーム中央にあるヒンジ(ちょうつがい)のロック装置が解除される。レバーを握ったままサドルを右外側へ押し出すと、後輪側が前方に進んでいき、前輪と後輪が横に並んだ状態になる。慣れると1~2秒で折り畳むことができ、そのまま手押し車のように移動できる。最も薄く畳めば左右の幅が33~48センチになり、狭い場所にも保管できる。
浅輪さんは10年前に定年を迎えるまで、大手建設会社に勤務。1級建築士で建物の設計が専門だが、「もともと発明が好きで、自転車の開発につながった」と振り返る。
開発を思い立った当時は名古屋市のマンションに住んでおり、駐輪場で毎年のように自転車を盗まれて困っていた。上階にある自宅に持ち込めないかとエレベーター前で考えるうちに「車のスライドドアのように、後輪を前に動かすことができないか」と発想。設計図を描き始め、具体化に向けては、折り畳み自転車を開発する企業「村山コーポレーション」(長野市)の村山克一社長(61)に協力を依頼した。
一般の折り畳み自転車では、ロック装置を直接触れて解除する方式が目立つが、開発品はハンドルから遠隔で解除できる手軽さが特徴だ。安全性を重視し、ヒンジを四つのピンで固定する構造にし、解除レバーは誤って操作しないように走行中は握りにくい位置に取り付けた。ヒンジのロック構造については、特許を申請中という。
折り畳み自転車としては比較的に大きい24インチの車輪を採用し、走りやすさにも配慮した。浅輪さんは「2、3台目の自転車が欲しい人や、保管場所に困っている人に役立つはず」と話している。
予定価格は変速機とライト用の内蔵発電機付きが4万8800円、変速機付きは4万2800円。当面、インターネットのウェブサイトで販売していく。
(提供:信濃毎日新聞)





















