ウォーターゲート事件で追い詰められ、自らホワイトハウスを去ったリチャード・ニクソン。沈黙する元大統領から謝罪の言葉を引き出したのは、イギリス人のテレビ司会者デビッド・フロストだった。そのインタビュー番組は、4500万人の米国民をくぎ付けにした。
この映画は実話に基づいているが、必ずしも事実に忠実な作品というわけではない。たとえば、政治に関心を持っていたフロストは、軽薄で軟弱な人物のように描かれている。
フィクションも盛り込んだふたりの対決は、対照的な選手がリング上で打ち合うボクシングのタイトルマッチのように見える。
では勝者はどちらなのか。ニクソンの巧妙な話術で手玉にとられていたフロストは、最終ラウンドで形勢を逆転し、謝罪の言葉を引き出す。だがそれはノックアウトとはいえない。ニクソンは間違いなく視聴者の同情を誘い、汚名にまみれた自己のイメージを塗り替えることに成功している。★★★★☆(大場正明・筆)
【データ】
監督:ロン・ハワード
脚本:ピーター・モーガン
出演:フランク・ランジェラ、マイケル・シーン、サム・ロックウェル、ケビン・ベーコン
3月28日(土)から全国順次公開

















