ぱちぱちとはぜながら赤々と燃える炎―耳にも目にもあたたかい薪ストーブとその前でくつろぐ家族の姿は、絵に描いたような「だんらん」に見えます。しかし、その楽しさの陰には、薪の準備や炎の管理、煙突掃除などのメンテナンスと、便利さを追求したほかの暖房設備とは比較にならないほどの手間があります。にもかかわらず人気が高いのは、その手間がまさにスローライフのシンボルであり、その手間を楽しみたいという人が増えているからでしょうか。「脱CO2(二酸化炭素)社会」の機運も人気の後押しをしているかもしれません。ここで薪ストーブとペレットストーブの最前線と導入時の留意点を研究してみましょう。
薪ストーブは、欧米では200年近い歴史がありますが、日本では本格的に家庭に普及し始めてまだ30年程度の歴史しかありません。しかし、ゆらゆらと燃える炎を見ているだけで、心まで温かくなりそうで、新築の家で主暖房として採用する家庭が増えています。
実際、暖気が家全体に循環する構造であれば、寒い信州でも薪ストーブ一台で十分に暖かくなります。ただし、リフォームなどで従来のリビングルームにそのまま導入しても、全館暖房が実現しない場合もあります。あくまでも、暖気が循環する構造となっていることが重要ですから、新築時に導入を検討するなら、設計の早い段階から工務店・建築家と薪ストーブ施工業者が打ち合わせる機会を設け、どんな構造がベストか検討することをお勧めします。途中から設計変更をしても、思ったほど効果が得られないこともあります。導入時はできるだけ早い段階で薪ストーブ施工業者に相談する、ということを心にとめて置きましょう。
薪ストーブの原理は単純そうに見えますが、最新の燃焼技術が導入されて、さまざまな種類が登場しています。
まず材質から、鋳鉄(鋳物)製と鋼板製の2つに分けられます。鋳物製は柔らかな輻射熱が得られ、弱めの火で安定した暖をとれます。鋼板製はシャープでモダンなデザインが魅力となっています。放熱方式では、外壁の熱を周囲に伝える輻射式と、空気循環を利用する対流式に分けられます。
めざましい進化を遂げているのは燃焼方式です。たとえば触媒式は、未燃焼ガスを触媒を通して二次燃焼室に送り、再燃焼させます。クリーンバーン方式は、触媒を用いずに二次燃焼用の空気を取り入れ、完全燃焼に近づけています。クラシックなデザインであっても、内部では最新技術が息づき、高効率、クリーン、高メンテナンス性を実現しています。性能は薪の消費量や扱いやすさに直結するだけに、専門店から納得いくまで説明を受けてください。
リージェンシー(カナダ)F1100Sは、高い燃焼効率を誇るが、鋼板製で価格は驚くほど低く抑えられている。 |
ダッジウエスト(アメリカ)のフェデラルコンベクションヒーター。輻射式と対流式、両方の機能を持ち、側面からも薪を補給できる。 |
ワム(デンマーク)のフィガロ。従来の薪ストーブのイメージを大きく変えるモダンなデザインが特徴。 |
スキャン(デンマーク)のSCAN40CB。揺らぐ炎を存分に楽しめる大きな窓。インテリアデザインとして楽しめるのが鋼板製の魅力。 |
モルソー(デンマーク)の3142CB。同社の製品の多くは同じデザインで対流式と輻射式が選べる。 |
バーモントキャスティング(アメリカ)のデファイアント。同社の製品は調理機能を備えたものが多く、オーブンとしても利用できる。 |
薪ストーブ導入に当たって最も重要なこと、それは業者選びかもしれません。設計段階から的確にアドバイスをしてくれ、設置に当たっては確かな技術で施工してくれる、さらにアフターサービスの体制も整っているーそんなパートナーとなれる業者を選ぶことです。薪割り機のレンタルサービスや24時間対応のサービス態勢をとっている業者もあります。
特に施工は安全性に直接かかわるだけに重要です。設置場所の問題、壁の防火対策、さらに煙突工事…。ストーブの周りに耐火壁を設けていても、壁体内部に熱がこもり、木が炭化したり、突然発火するという火災も起こっています。専門家の知識と技術が不可欠ですから、日曜大工で設置するのは不可能と思ってください。
| 薪ストーブ | ファイヤーシステムホクシン | 〒383-0013 長野県中野市若松町1774 | 0269-26-2285 |
| イケシミズ | 〒944-0124 新潟県上越市板倉区久々野186 サテライトオフィス(ショールーム)有*要事前連絡 長野市門沢3745-290 |
0255-78-4188 | |
| ディウェル | 〒381-0022 長野県長野市大字大豆島4178-1 | 026-221-7900 | |
| ファイヤーファクトリー | 〒380-0861 長野県長野市大字長野横沢町749-1 | 026-213-4327 | |
| 北信マック | 〒383-0012 長野県中野市大字一本木230-1 | 0269-26-2495 | |
| 誠設計 | 〒381-0083 長野県長野市西三才2228-1 | 026-295-6060 | |
| メイプルサービス | 〒380-0888 長野県長野市飯綱高原2471-930 | 026-239-1125 | |
| ペレットストーブ | CO2バンク | 〒381-2217 長野市稲里町中央三丁目33番23号 | 026-285-5370 |
| パイプ屋本舗 | 〒383-0022 長野県中野市中央2丁目6-27 | 0120-704252 | |
| 薪販売 | 長野森林組合 | 〒380-0852 長野県長野市大字長野東之門町2462(蔵春閣3階) | 026-252-7300 |
| 薪の松尾 | 〒381-2414 長野県上水内郡信州新町大字牧田中2310 | 026-262-4689 |
ペレットは県内の間伐材からも生産されている。
費用については機種や施工条件などで大きく変わりますので一概には言えません。小形でシンプルなものは10万円台からありますが、日本での人気機種は50万円前後のものが多いようです。ここに、さらに煙突と設置工事費用が50万円ほどかかりますから、導入コストの目安としては、おおむね100万円前後と考えればいいでしょう。もちろん、デザイン性も追及していくと費用は増えます。
薪の調達と保管を検討しておくことは、導入費以上に重要です。厳寒期に1日燃やすには、3束ほどの薪が必要です。1か月なら90束、一冬には約400束必要となる計算です。値段は広葉樹で1束500円ほどですが、施工業者や地元の森林組合などに相談して、確実に入手できるようにしておくことです。また、大量の薪を雨にさらすことなくストックできるスペースの確保、運び入れたり出したりする作業の利便性なども考慮しておく必要があります。
テルモッシ(イタリア)のペレットストーブ。
大きな窓から炎は見えるが、
操作性はファンヒーターに近い。
炎の暖かさは魅力的だけど、手間を考えるとためらってしまうー。そんな人にお勧めなのがペレットストーブです。燃やすのは薪ではなく、「ペレット」という小さな円筒状に加工した木片。この木片を燃料タンクに入れておけば、火力に応じて自動的に供給されます。
ペレットストーブの種類には、薪ストーブ同様に鋳物製、鋼板製があり、外観は薪ストーブと変わらないもの、ファンで温風を吹き出すタイプなどがあります。
薪ストーブとの最大の違いは使い勝手のよさ。機種によって機能は異なりますが、リモコンで着火や火力の管理ができたり、タイマーが使えたり、ほとんどファンヒーターに近い操作感覚の機種もあります。
設置工事が簡単なので、工事費が安くすむことも大きなメリット。煙突はFF式暖房機のように背面の壁から外に出せるので、条件によって集合住宅でも利用できます。
製品価格はシンプルなものなら5万円台からありますが、使いやすい標準的な製品なら40~50万円と、薪ストーブと同程度。ペレット価格は1袋10㎏で500円弱。消費量は1時間で1~2㎏ですから、1日10時間使ったとして1~2袋ですみます。
このように、操作性やコストを比較するとペレットストーブは魅力的です。ただ、薪ストーブの魅力はむしろ「手間がかかる」ところにあるわけですから、あまり簡単すぎると物足りないかもしれません。薪づくりや煙突掃除などを家族で楽しめるなら薪ストーブ、その手間はかけられないが、炎の魅力は味わいたいというのであればペレットストーブーということになりそうです。























