F1界の貴公子アイルトン・セナ(ブラジル)は、亡くなる1年前にこう言った。「自分を良いドライバーだと言うのは、甥のブルーノ・セナを見るまで待ってほしい」
ブルーノ・セナは当時9歳。3度のF1年間王者に輝き、人生の絶頂期にいたアイルトン・セナは、ゴーカートで卓越した能力を発揮する甥の少年に、未来を見ていた。
ブルーノ・セナは今、24歳になった。GP2シリーズなど下部レース合計で27度の表彰台、8度のポールポジション、13勝を挙げている。出走レースの12・75%で勝つ驚異的な勝率を誇り、今季だけでもGP2で2勝している。
周囲の期待は高まる一方だ。だが当の本人は右肩上がりで増える報道陣を前に、首を振りながら話している。「F1に関しては何も決まっていない。まずは目の前のGP2レースに勝つこと。それから初めて、自分はF1に進む準備ができたと言える」
ブルーノ・セナは笑顔を絶やさない。あまりにも友好的な態度のせいで、ブルーノが偉大な叔父に加えて、実父まで交通事故で失ったという過去を思い出すのは難しい。
わたしはアイルトンの現役時代、F1界で働く特権に恵まれた。伝説のドライバーの重要な瞬間をすべて目撃できたのは、まさに特権だった。ブルーノを初めて見たとき、わたしは二人が似ていると思った。二人は違う顔つきで、特に鼻が違うし、ブルーノにはそばかすがある。それでも、共通したオーラのようなものを感じた。
ブルーノには、名前に由来するプレッシャーは感じられない。「セナの名前はスポンサー獲得なんかには役立つんじゃないかな。でもそれは最初だけで、スポンサーが継続するかは成績次第だし、自分の存在は自分で証明しないとね」
繊細なドライビングで一時代を築いたアイルトン・セナのようになれるか。叔父の元同僚でもあった元F1ドライバー、ゲルハルト・ベルガー(オーストリア)の率いるトロロッソ・フェラーリが、ブルーノに関心を寄せている。来季からのF1デビューが有力視されているブルーノ。栄光へのポールポジションに着こうとしている。(アニエス・カルリエ=在フランス・モータージャーナリスト)
(提供:共同通信)




















